空き家所有者必見!空き家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)の改正により行うべき対策について

2023年12月13日に施工されたの空き家法改正により、空き家の管理責任が強化され、適切な管理が行われていない空き家に対する措置も強化されました。空き家の所有者は、今回の法改正の内容を正しく理解し、適切な対策を講じる必要があります。この記事では、空き家法改正のポイントや空き家所有者が行うべき対策、活用できる相談窓口などについて詳しく解説します。空き家のことでお悩みの方は、ぜひこの記事をご一読ください。

空き家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)とは?

空き家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)ができた背景

近年、日本では少子高齢化や人口減少が進み、それに伴い、使われなくなった空き家が年々増加しています。総務省統計局の「住宅・土地統計調査」によると、2023年時点の空き家総数は約849万戸、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)が14.6%と、それぞれ過去最高となっています。

空き家は適切に管理されていれば問題ありませんが、管理不全の状態になると、以下のような様々な問題を引き起こす可能性があります。

空き家の問題点具体的な内容
倒壊による危険のリスクメンテナンスもなしによる建物の老朽化により、地震による倒壊のリスクがあり、その際には近隣に損害を与えてしまうこととなります。維持管理の責任を問われ、損害賠償の責任を負うことにもなり得ます。
景観の悪化雑草の繁茂や建物の老朽化により、周囲の景観を損ね、地域のイメージダウンに繋がることがあります。例えば、朽ち果てた空き家が放置されることで、地域の景観を損ない、観光客の減少や住民の生活意欲の低下に繋がることが懸念されます。
衛生上の問題害虫やネズミの発生源となり、悪臭や感染症のリスクを高める可能性があります。例えば、ゴキブリやネズミが繁殖し、周辺住民に健康被害をもたらす可能性があります。また、悪臭が発生することで、近隣住民の生活環境が悪化する可能性も考えられます。
防犯上の問題犯罪に利用される可能性や、放火のリスクが高まる可能性があります。例えば、空き家が犯罪者の隠れ家や不法投棄の場所として利用される可能性があります。また、放火の危険性も高まり、周囲の住宅に延焼する恐れもあります。
地域コミュニティの衰退地域住民の不安感や不信感を招き、地域コミュニティの崩壊に繋がることがあります。例えば、空き家の増加によって、地域住民のコミュニケーションが減少し、地域の絆が希薄になる可能性があります。また、防犯上の不安から、住民が地域での活動に参加しづらくなることも考えられます。

このような空き家問題が深刻化する中で、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空き家法)は2014年5月23日に公布され、2015年5月27日に全面施行されました。
参考:空家等対策の推進に関する特別措置法の概要(環境省)

空き家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)の目的

空き家法は、増加する空き家問題に対して、国、地方公共団体、地域住民、所有者がそれぞれが役割を分担し、連携して対策に取り組むことにより、地域住民の生活環境の保全を図り、良好な地域社会の形成、発展に寄与することを目的としています。e-Gov法令検索

具体的には、空き家の所有者に対して、適切な管理を義務付けるとともに、空き家の活用や除却を促進するための様々な支援制度を設けています。例えば、空き家を解体して更地にする場合や、耐震改修を行う場合などに、補助金制度が利用できます。また、空き家を賃貸に出す場合や、売却する場合にも、税制上の優遇措置が設けられています。

空き家法の基本理念

空き家法は、以下の3つを基本理念としています。

  1. 住宅における居住環境の確保
  2. 良好な景観の形成その他の生活環境の保全
  3. 良好な地域社会の形成及び発展

これらの理念に基づき、空き家法は、空き家の所有者に対して、空き家の状態に応じた適切な対応を求めています。

空き家法の対象となる「空き家」の定義

空き家法では、「空き家」を「一年以上、居住その他の使用がなされていない状態にあるもの」と定義しています。ただし、別荘のように、一時的に使用されていない住宅は、空き家法の対象外となります。また、建物の用途や構造によって、空き家法の対象となるかどうかが異なります。

例えば、以下の建物は、空き家法の対象となる「空き家」に該当しません。

  1. 店舗や事務所など、住宅以外の用途に供されている建物
  2. アパートやマンションなど、複数の世帯が居住することを目的として建築された建物
  3. ホテルや旅館など、宿泊施設として利用されている建物

空き家所有者の責務

空き家法では、空き家の所有者に対して、以下の責務を定めています。

  1. 空き家の状態に応じた適切な管理
  2. 周辺の生活環境への配慮
  3. 空き家に関する情報の提供

空き家の所有者は、これらの責務を遵守し、空き家問題の解決に協力することが求められます。

2023年12月の空き家法改正で何が変わった?

2023年12月の空き家法改正では、空き家の増加や老朽化による周辺環境への影響をより深刻に受け止め、対策を強化するために、いくつかの重要な改正が行われました。主な改正点は以下の通りです。

特定空家等の認定基準の明確化

改正前は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす可能性のある「特定空き家等」の認定基準が曖昧で、各自治体によって判断が異なっていました。改正により、特定空き家等の認定基準がより明確化され、適切な管理が行われていない空き家に対して、より迅速かつ的確な措置が取れるようになりました。

具体的には、以下のいずれかに該当する場合、「特定空き家等」に認定される可能性があります。国土交通省:空き家対策の強化について

区分具体的内容
①倒壊等著しく保安上危険な状態屋根や外壁が崩落の危険性がある 建物が著しく傾斜している 柱や梁が腐食している
②著しく衛生上有害となるおそれ害虫・害獣の発生源となっている 悪臭が発生している ネズミやゴキブリが発生している
③適切な管理が行われておらず、景観を損なっているなど、周辺の生活環境の悪化を招いている状態雑草が繁茂している ゴミが放置されている 長期間、窓や扉が閉鎖されている
④その他周辺の生活環境の悪化を招くおそれのある状態犯罪に利用されるおそれがある 放火の危険性がある 不審者の侵入や滞留の可能性がある

これらの項目に該当するかどうかの判断は、各自治体の調査員が行います。調査員は、現地調査を行い、建物の状態や周辺環境への影響などを総合的に判断して、「特定空き家等」に該当するかどうかの判定を行います。

特定空き家等に認定されるとどうなる?

特定空き家等に認定されると、所有者は、市町村から改善指導や勧告、命令などの行政処分を受ける可能性があります。また、固定資産税の優遇措置が受けられなくなるなど、経済的な負担も増える可能性があります。行政処分に従わない場合は、罰金が科せられることもあります。

相続した空き家の管理責任の明確化

改正前は、相続した空き家の管理責任が曖昧なケースも見られました。改正により、相続した空き家の管理責任が明確化され、相続放棄をした場合でも、一定期間は管理責任を負うことになりました。これは、相続を原因とする空き家の放置を防ぐための措置です。

相続登記の義務化

2024年4月1日から、相続によって不動産を取得した相続人に対し、相続の開始を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務化されます。
参考:相続登記の義務化(法務省)

相続登記を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。また、相続登記がなされていないと、不動産の売却や担保提供などができないため、注意が必要です。

相続登記の義務化による空き家対策への影響

相続登記の義務化により、相続した不動産の所有者不明の状態が解消され、空き家の発生を抑制することが期待されています。また、所有者情報が明確になることで、空き家の管理責任が明確化し、適切な管理が促進される効果も期待できます。

適切な管理が行われていない空き家に対する措置の強化

改正により、特定空き家等に認定された空き家の所有者に対する助言・指導や命令の対象が拡大されました。また、命令に従わない場合の罰則も強化され、空き家の所有者に対して、より適切な管理を促すための措置が強化されました。

課税の強化

特定空き家等に認定されると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなる場合があります。具体的には、住宅用地の特例措置(住宅が建築されている土地について、固定資産税・都市計画税が軽減される措置)が適用除外となり、税負担が最大で6倍になる可能性があります。

例えば、200平方メートルの住宅用地の場合、固定資産税・都市計画税が年間約5万円のところ、特定空き家等に認定されると、年間約30万円にまで増加する可能性があります。

空き家所有者が行うべき対策

以上から空き家法の改正は、空き家所有者にとって重大なこととなります。空き家の放置は、周囲の生活環境の悪化や、犯罪の温床となる可能性も孕んでいます。改正された法律を正しく理解し、適切な対策を講じることが重要です。例えば、倒壊の危険性があると行政から判断された場合、「特定空家等」に指定され、固定資産税の優遇措置が受けられなくなるだけでなく、行政から勧告や命令の対象となり、最終的には行政代執行によって解体される可能性もあります。行政代執行となれば、解体費用は所有者負担となるため、経済的な負担も大きくなります。そのため、早めの対策が肝心です。

空き家の状態確認と適切な管理

まずは、所有している空き家の状態を把握することが重要です。建物の老朽化の程度、雨漏りやシロアリ被害の有無などを確認しましょう。その上で、必要な修繕や清掃などを実施し、適切な管理を行いましょう。適切な管理とは、具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 定期的な清掃:空き家といえども、定期的な換気や清掃が必要です。目安としては、月に1回程度は行うようにしましょう。また、庭木の手入れなども必要に応じて行いましょう。これは、建物の劣化を遅らせるだけでなく、害虫の発生や悪臭の発生を抑制するためにも重要です。また、近隣住民に不快な思いをさせないためにも、適切な管理を心がけましょう。
  • 雨漏り対策:雨漏りは、建物の老朽化を早める原因となります。屋根の修理や、雨どいの清掃などを定期的に行いましょう。雨漏りを放置すると、木材が腐食したり、シロアリが発生したりする原因にもなります。また、カビの発生によって健康被害が生じる可能性もあります。最悪の場合、建物の強度が低下し、倒壊する危険性も考えられます。
  • シロアリ対策:シロアリは、建物の構造材に被害を与えるため、放置すると倒壊の危険性もあります。定期的な点検を行い、必要に応じて駆除や予防措置を講じましょう。シロアリは、木材を食べることで建物の強度を著しく低下させるため、放置すると大変危険です。シロアリ被害は火災保険の適用外となる場合もあるため、注意が必要です。専門業者による点検や駆除を検討しましょう。
  • セキュリティ対策:空き家は、犯罪の標的になりやすいため、適切なセキュリティ対策が必要です。窓やドアに補助錠を設置したり、センサーライトを設置するなどの対策を検討しましょう。また、敷地内に防犯カメラを設置することも有効です。空き家への侵入を防ぐためには、周囲から見えにくい死角をなくすことも重要です。近隣住民と協力して、地域ぐるみで防犯対策に取り組むことも有効な手段です。

これらの管理を自身で行うのが難しい場合は、当社のような専門の管理会社に委託することも検討しましょう。管理会社に委託することで、より専門的な知識と経験に基づいた管理を任せることができます。管理会社によってサービス内容や費用は異なるため、複数の会社を比較検討し、自身に合った会社を選びましょう。また、契約内容をよく確認することが重要です。

空き家の活用方法の検討

空き家を放置しておくのではなく、有効活用する方法を検討してみましょう。活用方法としては、以下のようなものがあります。

売却

空き家を売却する場合は、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。不動産会社は、査定から売買契約、引渡しまでの一連の流れをサポートしてくれます。ただし、空き家の状態によっては、買い手がつかない場合もあるため、注意が必要です。売却前にリフォームを行うことで、買い手がつきやすくなる可能性があります。リフォーム費用と売却価格のバランスを考慮し、不動産会社とよく相談しましょう。また、空き家を売却した場合は、譲渡所得税が発生する可能性があるため、注意が必要です。空家の譲渡所得税には3,000万円控除の制度があります。

空き家譲渡所得の3,000万円特別控除について

賃貸

空き家を賃貸に出す場合は、賃貸管理会社に管理を委託するのが一般的です。賃貸管理会社は、入居者の募集から契約、家賃の徴収、建物のメンテナンスまで、賃貸経営に関する様々な業務を代行してくれます。賃貸経営は、安定した収入を得ることができる一方、空室リスクや家賃滞納リスクなどもあるため、事前にしっかりと検討する必要があります。また、賃貸経営を行うにあたっては、必要な手続きや税金についても理解しておく必要があります。例えば、賃貸収入を得るためには、不動産所得の確定申告が必要となります。また、建物の固定資産税や都市計画税も、自己利用の場合と比べて高くなる場合があります。

リフォーム・リノベーション

空き家をリフォームまたはリノベーションすることで、居住性を高め、売却しやすくなるだけでなく、賃貸に出した場合の家賃収入の増加も見込めます。また、自身で住居として利用することも可能です。リフォームは、老朽化した部分を修繕するなど、現状回復を目的とするのに対し、リノベーションは、間取りを変更したり、設備を一新したりするなど、大規模な改修を行うことを指します。リフォームやリノベーションを行う際は、専門の業者に相談し、適切なプランを検討しましょう。費用対効果も考慮しながら、予算に合わせて計画を立てることが大切です。また、リフォームやリノベーションを行う際には、補助金制度を利用できる場合があります。各自治体のホームページなどで確認してみましょう。

空き家バンクへの登録

空き家バンクとは、地方自治体が運営する空き家情報の提供サイトです。空き家を売却または賃貸したい所有者と、空き家を探している人をマッチングする役割を担っています。空き家バンクに登録することで、広く情報発信することができ、成約に繋がりやすくなる可能性があります。ただし、空き家バンクに登録する際は、一定の条件を満たしている必要があるため、事前に確認が必要です。例えば、建物の状態や立地条件などが挙げられます。また、登録費用や仲介手数料が発生する場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

空き家の解体

空き家の活用が難しい場合は、解体することも検討しましょう。解体費用は、建物の規模や構造、解体業者によって異なりますが、数十万円から数百万円程度が相場です。解体後には、更地にして売却することもできますし、駐車場として活用することもできます。解体する際は、近隣住民への配慮も必要です。騒音や振動が発生する可能性があるため、事前に説明を行い、理解を得るようにしましょう。また、解体工事は、専門の解体業者に依頼する必要があります。解体業者を選ぶ際は、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。解体工事には、様々な法律が関係するため、事前に確認しておく必要があります。例えば、建築基準法や廃棄物処理法などが挙げられます。また、解体費用の一部を補助する制度を設けている自治体もあるため、確認してみましょう。

空き家に関する税金

空き家であっても、固定資産税や都市計画税などの税金が発生します。ただし、一定の条件を満たすことで、税金の減免措置を受けることができます。税金の減免措置を受けるためには、各自治体への申請が必要です。申請方法や必要書類などは、各自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有状況に基づいて課税される税金です。空き家であっても、土地や建物などの固定資産を所有していれば、固定資産税の納税義務が発生します。ただし、特定空家等に認定された場合は、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税額が増加する場合があります。住宅用地特例とは、住宅用地の固定資産税を軽減する制度です。この特例が適用されなくなると、固定資産税が最大6倍になる可能性があります。

都市計画税

都市計画税は、都市計画区域内の土地や建物を所有している人が納める税金です。都市計画事業の費用に充てられる目的で課税されます。固定資産税と同様に、特定空家等に認定された場合は、税額が増加する場合があります。都市計画税は、固定資産税評価額をもとに算出されます。特定空家等に認定されると、固定資産税評価額が上がるため、都市計画税も増加する可能性があります。

相談窓口の活用

空き家に関することでお困りの際は、一人で抱え込まずに、専門の相談窓口を活用しましょう。相談窓口では、空き家の管理方法や活用方法、税金、法律に関することなど、様々な相談に応じてくれます。相談は無料で、秘密厳守なので、安心して相談することができます。

市区町村の窓口

各市区町村には、空き家に関する相談窓口が設置されています。相談窓口では、空き家に関する様々な相談に対応しています。相談は無料で、秘密厳守なので、安心して相談することができます。相談窓口では、空き家の管理や活用に関する助成金や補助金制度の情報提供も行っています。また、空き家に関するセミナーやイベント情報なども入手できます。

専門家への相談

空き家の法律や税金に関することなど、専門的な知識が必要となる場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家は、豊富な知識と経験に基づいて、適切なアドバイスを提供してくれます。専門家への相談は有料となる場合がほとんどですが、より的確で具体的なアドバイスを受けることができます。弁護士や税理士などの専門家を探す際には、日本弁護士連合会や日本税理士会連合会のホームページなどを利用すると便利です。

相談内容相談窓口
空き家の管理方法市区町村の窓口、不動産管理会社
空き家の活用方法市区町村の窓口、不動産会社、空き家バンク
空き家の解体解体業者
空き家の税金市区町村の窓口、税理士
空き家の法律市区町村の窓口、弁護士

不動産会社への相談

空き家の売却や賃貸を検討している場合は、不動産会社に相談することをおすすめします。不動産会社は、空き家の査定や売買契約、賃貸管理などの業務を行っています。また、空き家のリフォームや解体に関する相談にも対応している不動産会社もあります。不動産会社によって得意分野が異なるため、複数の会社に相談し、比較検討することが重要です。また、不動産会社に依頼する際は、媒介契約を結ぶことになりますが、契約内容をよく確認することが大切です。

当社は空き家対策、相続に関するご相談に対して司法書士、弁護士、金融機関と連携を取りながら対応が可能ですので、よろしければご相談ください。

まとめ

2023年12月の空き家法改正施行により、空き家の所有者にはより一層の管理責任が求められるようになりました。特定空家等に認定されると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなるなど、所有者にとって経済的な負担が大きくなる可能性があります。空き家を放置しておくことは、景観の悪化、衛生上の問題、防犯上のリスクなど、周辺環境にも悪影響を及ぼす可能性があります。空き家所有者は、適切な管理を行う、あるいは売却や賃貸、解体などを検討するなど、早急に対策を講じる必要があります。お困りの際は、当社にご相談ください。